傷の手当てはしたし休んだことで体力は回復したのだから、別段すぐにその屋敷を発っても良かったのだけれど、宗次郎は米倉に数日間逗留した。
宗次郎をここに引き留めた要因は大きく二つ。今の自分が、かつての自分が出逢った頃の志々雄と似たような立場にある、という奇妙な符合と、これまたかつての自分に似た少年・平太への興味だ。
ここで過ごしているうちに、いくつか分かったことがある。屋敷は、この一帯を治める地主の家であること。故に村の権力を握っていること。
平太は地主の遠縁にあたる家の子で、親兄弟を亡くし、この家に引き取られたこと。地主一家は表向きは孤児を養育しているといい顔をしているが、実際には平太を疎んじ、奉公人より酷い扱いをしているということ。
宗次郎が日中、こっそり米倉を抜け出して平太や屋敷の住人の様子を探ったり、当の平太から聞き出したり―――といっても平太は喋ろうとしないから質問に対するはい・いいえで判断したようなものだが―――した中で得た情報だ。
屋敷からの締め出しはまだ継続中で、平太は連日、宗次郎が寝泊まりする米倉で夜を明かしていた。流石に三食を宗次郎に運ぶのは厳しいようだったが、一日に一食ほどは、平太は宗次郎に食糧を持ってきてくれた。最初の夜こそ強請りはしたものの、その後の宗次郎は特に頼まなかったのにも関わらず、自主的に。
「食べ物を持ってきてくれるのは有り難いけど、大丈夫? そろそろバレる頃じゃない?」
何だかんだでその握り飯をもしゃもしゃ食べている分際で何をほざくか、な宗次郎であるが、これは一応経験者としての忠告だ。
平太の行動から滲み出る不審さに、屋敷の者達がぼちぼち異変に勘付いてもおかしくはない。それを抜きにしても、この近辺にまで宗次郎の手配書が回っている可能性だってあるのだ。
けれど平太は、無言で微笑むばかりだった。相変わらず言葉を発することはないとはいえ、表情は最初に会った頃よりずっと、豊かになった。最初はその辺りは特に気にしなかったが、顔立ちも整っている部類に入るだろう。その顔がにこりと、宗次郎に向いている。
この家の者には誰も、まともに相手をして貰えない。だから向き合って話をしてくれる相手の存在が、一緒にいてくれる誰かが平太は恐らくは嬉しい、―――そう、嬉しいのだ。
何故なら、あの頃の自分がそうだった。鮮烈だった志々雄との出逢い。彼が人を斬り殺すのを目の当たりにしながらも、彼の凄まじい力に憧れた。志々雄が明治政府の反逆者だと知っても、彼を匿うのをやめなかった。
志々雄が話を聞いてくれるのが嬉しかった。話をしてくれるのが嬉しかった。相手をしてくれるのが楽しかった、それがたとえ、どんな極悪人でも。
(……あぁ、そういえば僕、その辺りは平太君には言ってないなぁ)
極悪人だとは前に伝えたけど。ふと思い当たって、握り飯を食べ終えた宗次郎は平太に向き直る。
「平太君。僕ね、明治政府の反逆者なんです。それも、飛びっきりのね」
「……」
「嫌だなぁ、そんな怪訝そうな顔しないでよ。本当なんだから」
驚くどころか、まず胡散臭い、という反応をされた。一見“悪人”の印象がない宗次郎の悪人としての利点は、かつて情報収集や暗殺に重宝されたものだった、なので平太が宗次郎のその発言をすぐに信じられないのも、無理もなかった。
けれど疑わしげだった平太は、宗次郎の今までの言動や様相を反芻するような顔付きに変遷し、終いに神妙に身を強張らせた。納得したらしかった。平太が分かってくれたところで、悪人然とは相当に遠い爽やかな笑みで宗次郎は言う。
「この怪我だって、警察にやられたものだしね。向こうとしては重大な犯罪者を取り逃がしたわけだから、この辺りにも手配書が回っててもおかしくないんだ。僕を捕まえるよう、お達し来てない?」
「……」
平太はふるふると首を横に動かした。話をすることはなくても、平太は宗次郎に嘘をつくことはしない。これも数日の付き合いで分かったことだ。
この辺りまで、まだ宗次郎捕縛の手は伸びていないようだ。となれば、今のうちにここを離れる方が得策だろう。逃走が可能なくらいには、充分に動けるようになった。いつでもここを発っていい、それは分かっていた。
だけど。
「……?」
よく分からないモヤモヤとしたものが、胸の辺りを覆う。不可解な感覚に宗次郎は僅かに眉を寄せ、首を傾げた。
何だろう、この感じ。
「……手配書が回ってないんじゃ、まだいいかぁ。もう少し、お世話になるね。怪我もまだ、治り切ってないし」
逃亡の理屈とは裏腹に、やはり何かが宗次郎を引き留める。己の内部に立ち込める不思議な靄に戸惑いつつも、それを意識の外に追いやるように、宗次郎はまだここに滞在したい旨を告げた。
平太はそれを迷惑がる素振りもなく、むしろホッとしたように頬を綻ばせ、頷いた。それで何故だか、宗次郎の胸の内も些か凪ぐ。
平太は間も無く、軽い足取りで米倉から出ていった。時間としては夕刻だ、まだ仕事があるのだろう。平太は朝早くから夜遅くまで、家族中からこき使われているようだ。
「……」
自身の過去の蓋をこじ開けられる等しさに、宗次郎は徐に立ち上がる。出入り口の戸に近付き開くと、倉の格子窓から差し込むのよりずっと強く柔らかな夕陽の光が、宗次郎を橙に染めた。
目を細め、掌をその上にかざす。外の明るさに目が慣れたところで倉から出て、宗次郎は辺りを見回した。平太の姿はとうに無い。元々、屋敷の敷地内では隅に位置するこの米倉の周囲には、普段行き交う者も無い。
倉から米俵を運び出すのだって、平太の役割だ。小さな体躯の力を精一杯振り絞って、重い重い米俵を背負う。
「……」
宗次郎は何歩か前に歩き、古びた倉の方に振り向いた。
そこかしこが汚れひび割れ、蜘蛛の巣が張っている。倉の左右には、からからに枯れた一対の紫陽花があった。それは元からここに生えていたのか景観の為に植えたのか、いずれにしても今は瑞々しさを失い、花は見る影もなくくすんでいる。誰も彼もに忘れられたかのように、ただ渇いた枝葉を広げている。
初夏には美しく咲き誇っていたであろう花。最早見向きもされず、枯れた後の手入れすらされていない。その紫陽花にも、蜘蛛の巣がかかっている。糸に絡まった小虫を、蜘蛛が捕食しているのが見えた。
(……所詮この世は弱肉強食。強ければ生き、弱ければ―――)
ごくごく普通に、その言葉が宗次郎の喉元にせり上がる。それは懐かしいあの頃、志々雄が教えてくれた言葉。何人たりとも抗うことはできない、自然の摂理。
宗次郎も、そうやって生きてきた。あの雨の日からずっと、ずっと。
(……だけど……)
それを認める一方で、こめかみが鈍く痛む。
人間が持ち得る強さの限界にまで登り詰めていた十字傷の剣客は、宗次郎を殺さないままで打ち破ってみせた。倒した相手に、諭しさえした。何が真実かは、自分自身で決めることだと。
その彼の髪色のような夕焼け空に、宗次郎は視線を移した。遥か昔にも夕焼けを見た。米俵を担ぎながら、志々雄の言葉について考えていた。
(……そうだ。あの時僕は迷ってたんだ。なのに……)
迷っていたことすら、心の奥底に置いてきた。無我夢中で刃を振るったあの時は、迷う余地も無かった。そんなことは許されなかった、生き延びる為には。
遠い感傷が己の内を焦がすような感覚に宗次郎は顔を歪め、シャツの胸元を掴んで米倉の外壁にとん、と背中を預けた。息がうまくできなくて、苦しくなる。果たして苦しいのは呼吸器なのか、それとも。
ここにいると、平太と共鳴するように過去の自分のことを思い出す。きっと彼を通して、かつての自分を見ているのだ。 虐げられていた自分を。無力だった自分を。まだ誰も傷付けていなかった頃の、自分を。
「……志々雄さん。緋村さん。流浪れることを決めた僕が、ここに留まっているのは……」
掠れた声で、ここにはいない二人に話しかける。
宗次郎のことが露見していない今のうちにこの家を離れれば、宗次郎と平太と、双方にとって安全に事が運ぶ。宗次郎は無事に逃げおおせることができ、平太は罪人を匿ったことを地主一家に責められることもない。
その辺りも分かっているのに、旅路の足は止まっていた。平太の存在が、宗次郎をここに繋ぎ止めていた。
「単にあの子のことが、何となく気にかかるから。けど……、それでいいんですよね? 何かは分からないけど何かを…僕の真実に近付けそうな何かを、知ることができそうなんです。だから僕は多分…もう少しだけ、ここにいると思います」
ここに逃げ込んだのはたまたまだ。偶然、この家の雰囲気があの米問屋一家に似ていたから、怪我をしていて休む必要があったから、平太とかつての自分が似通っていたから。そこに何か、惹き付けられるものがあったから。
過去を見つめるのには苦痛を伴う、かといって目を背ければ、先へと進むことはできない。
ここは自分の生き方を探る旅路としては、ほんの寄り道。けれども、そこでの出逢いと、自分の深いところに潜っていくような追想。それは答えを見つける上で、必要な過程のようにも思えたのだ。
言葉の途中で、宗次郎の唇にはようやく笑みが戻る。
二人の恩人に確かめるような、或いは意思を表示するような宗次郎の独白を、朽ちた紫陽花達だけが聞いていた。
※ ※ ※
次の日は、風の無い静かな夜だった。
倉の中の空気もしんと静まり返り、平太も言葉を発しない為、宗次郎の明るい声のみが音としてそこにあった。
旅の途中の思い出話や、志々雄と共にいた頃の話。そうしたことを聞かせれば平太は面白がったり驚いたり、時には呆れたりと様々な反応を見せた。ただし、声で相槌を打つことはない。
しかしこれは意味のある沈黙だと、ここまでの日々で宗次郎は見抜いていた。それを証明する為に、楽しげに話を聞いている平太の前に、スッと両手をかざした。不思議そうにする平太の前で、思いっきりパァンと柏手を打った。
「わっ!」
平太は声を上げ、飛び上がった。びっくり顔になった平太の足を宗次郎はすかさず掴み、今度は空いている手でその裏をくすぐる。
「…っ、ちょっ…、あはは、やめ、あははははっ!」
「……思った通り、か」
パッと両手を離し、宗次郎は笑む。笑い声を残しながらも非難の眼差しをしている平太に、宗次郎は「本当は君、ちゃんと喋れるんでしょう?」と穏やかに突き付ける。
平太が弾かれたように宗次郎を見た。
「まぁ、最初の晩も一言だけ喋ってたしね。…君は本当は、普通に話すことができる。だけど、自分自身を守る為に敢えて黙ってる。そうじゃないんですか?」
凪の水面のような宗次郎の笑顔の反対側に、困惑に満ちた平太の姿がある。両の瞳は揺れ、言葉は無くともそこに彼の心境が映し出されている。
『なんで、分かるの?』
邂逅の夜、そのままの問いが。
「……僕も同じだったから。僕のそれは、笑顔だった」
今は僅か苦いものを含んだ微笑で、宗次郎は答えを返す。
平太は喋れないわけではない。喋らない、そう、自分の意志で話をしないのだ。幼い頃の宗次郎が、笑みを浮かべることで身を守ろうとしたように、恐らくは沈黙が、平太にとっての防壁なのだ。
話をしないことで、酷い言葉や拳をぶつけられることもあったに違いない、事実宗次郎は屋敷の様子を探る中、そんな場面も目にした。それでも多弁でいるよりは、寡黙を貫いた方が平太には有利に働いたのだろう。
誰も味方がいない、居場所が無い居場所で、自ら編み出した処世術。「そんなとこまで似てなくていいんだけどなぁ」と、宗次郎は明るくぼやいた。
「怒っても泣いても酷い目に遭わされるから、僕は笑うことにしたんだ。それでも殴られはしたけど、笑ってるのが一番マシだったよ、相手が呆れて終わりにするからね。……だから僕は、笑ってた」
初めは表情だけの仮初めの笑顔。それがいつしか、心にまで張り付いた。
……だから僕は笑っていたんだ。この手を血に染めたあの時さえも。
「僕はあの家の本当の子じゃないから悪いんだ、って思ってた。虐められるのは、仕方ないってね。…そんな時、ある人に言われたよ。『僕が弱いから悪いんだ』って」
過去を辿りながら、宗次郎は語る。平太に向けて、十数年の時を経て出逢った、かつての自分と似た少年に向けて。
「『所詮この世は弱肉強食。強ければ生き、弱ければ死ぬ』とも言われた。その言葉が正しいって、僕はずっと思ってた、でも今は……、本当に正しいのかどうか、よく分からない……」
薄く笑む宗次郎は、目の前の少年を見ながらもどこか遠くを見る眼差しで、平太の手を己の手で包み込む。宗次郎の雰囲気に気圧されたように息を呑む平太に、宗次郎は柔和に続けた。
「あの時僕には、二つの道しかなかった。弱いまま死ぬか、強くなって生き延びるか。僕は、強くなる方を選んだよ。……選ぶしかなかった。死にたくなかったんだ。……死ぬのが、怖かった」
語りながら、知らず知らずのうちに宗次郎の両手は震えていた。志々雄を匿っていたことが露見して義理の家族達に殺されかけたあの時、宗次郎は強くなる道を選んだ。正確には、選ばざるを得なかった。
―――そうでなくては生きられなかった。本当は殺したくない、弱くてもこのままの自分で生きていたい、そんな悲痛な叫びは、暴力と死の恐怖と、血と雨と笑顔にかき消された。
緋村剣心との闘いの中で、ずっと閉ざしていたその蓋にヒビが入った。こじ開けられ姿を現してしまった、笑みの下の本当の自分が。けれど弱肉強食の道を歩いてきたのも紛れもなく自分だから、今はどちらの自分も納得するような道を、生き方を探し求め流浪れている。
「……君に一つ、渡したいものがあるんだ」
宗次郎は一度平太から両手を離し、旅の荷物を探る。森や山で食料となる獲物を捕った時、捌くのに使う短刀を取り出した。それは宗次郎があの時志々雄に貰った脇差しよりもずっと短い。しかし使い方によっては、人の命を奪うことは可能だ。
宗次郎はそれを鞘から抜き、中の刃を平太に見せつける。怯む平太の右手に、柄をほとんど無理矢理握らせた。剥き出しの刃に、平太の目が釘付けになっている。
刃と共に、宗次郎はあの言葉を渡された。が、宗次郎は平太にそうはしない。
「これをどう使うかは君次第。使ってもいいし、使わなくてもいい。僕をここに匿ってくれた、お礼みたいなものだよ」
刃の向こう側に、にこりと笑う。柄を握る平太の手を、再び両手で包み込む。
平太は困惑するばかりだったが、宗次郎の方もまた、未知の感覚に緊張に近いものを覚えていた。
「君は昔の僕に似てる。だけど、君は僕とは違う。君はまだ……僕と同じ道だって、別の道だって選べる。どっちでも、いいんだ」
(それに僕も……、志々雄さんとは、違うから)
ぐ、と宗次郎は平太の手を握る掌に力を込めた。
志々雄のように強くなりたいと、志々雄のようになりたいと生きてきた。しかしそれは、宗次郎には無理だった。心の底に、押し殺してきた弱肉強食への反発があった。何より、あの言葉は志々雄の真実であったから、宗次郎にとっての本当の真実にはならなかった。
志々雄と袂を分かつ結果となったあの闘いで、相手を殺さないままでも極限まで強さを高めた、緋村への羨望にも気付いてしまったから。強者は弱者を守る。そんなのは間違っていると否定しはね除けながらも、本当は、自分も誰かに守って貰う道を、用意されていれば良かったと。
志々雄と緋村は違う。志々雄と宗次郎は違う、緋村と宗次郎も違う。そして、宗次郎と平太も違う。
どんなに似ていても、いつまでも同一視はできない。それぞれにそれぞれの人生が……生き方が、ある。
(僕はただ、この子を通して知りたいだけなのかもしれない。あの時、違う生き方が僕に示されていたなら、僕はどうしていたのかを)
だから平太にしかと渡すのは刃だけ。彼の前に広がる道は、かつての宗次郎の前にあった道とは違うのだ。そこで平太が、何を選び取るのか。
こんなの礼でも何でもない。知りたいという、宗次郎の我儘だ。答え探しの為に、平太を利用しているだけなのか……、それでも、あの時の自分には無かった道を、この子には示せた。
血に染まりきった手で、今はまっさらな子どもの未来を掴む。彼がどの方角へ向かうのか、それを垣間見ることができればまた一歩、先へと踏み出せるだろうか。
宗次郎はうっすらと微笑んだ。それがどんな意味を持つ笑顔なのかは、自分自身では分からなかった。
※ ※ ※
その日を迎える準備として、宗次郎は屋敷の敷地内の各所に、わざと様々な痕跡を残した。足跡だったり、食糧に手を付けたような跡だったり、更には住人達が部外者の存在に勘付くように、ほんの微かに気配を匂わせたり。無論、平太には内緒で。
狙い通りに事は運び、日が暮れた頃、平太は家長である地主から呼び出された。それに素直に応じた平太は、地主に胸元を掴まれ、勢いよく庭に放り出された。平太の身体はいとも簡単に、地面の上を転がっていく。呻き声のような息が、平太から漏れた。
「ふざけた真似をしおって! このっ!」
「……ッ!」
怒りで血相を変えた地主は、平太にずんずんと近付く。そうして倒れた平太を力づくで立ち上がらせ、恫喝し罵倒した。
平太は唇を噛み締めて、突然の嵐に耐えている。……その一連を、きちんと旅装束を身に付けた宗次郎は、物陰から見ていた。
「ウチで面倒を見て貰ってる分際で、勝手なことをしおって。近頃何かコソコソしてると思えば…!」
「きっと、どこぞの街で取り逃がしたとかいう犯罪者ですよ。まさかウチに隠れてた…いいえ、この子が隠していたなんて!」
「そっちは警察に任せるとして…この落とし前は、平太にどうやってつけさせるよ」
「ああ、そんな危険な奴がうろついてたんじゃ、俺らも下手したら殺されてたかもしれねぇしなぁ」
庭に居並ぶ地主一家は、平太に不快感と敵意をあらわにしている。仕込み杖を手にしている者もいた。家屋からの灯りで、月の無い夜でも宗次郎にはそれがよく分かった。まるであの日の再現だ。
地主とその奥方や息子達の責める言葉にも、平太は身を竦め、じっと受け止めるばかりで反論はしない。反撃の為の刃は懐にある筈、しかし平太はそこに手を伸ばすこともせず、両腕を身体の脇に力無く垂らしたままだ。
(……これでいいんだ。これできっと、何かが分かる)
その様を静観しながら宗次郎は思う。この分なら、地主一家が苛立ちに任せて平太を更に痛め付けるのは、時間の問題だろう。意図的に、宗次郎はこの状況を作り上げた。自らの答えに近付きたいが為に。
自らの死を実感したその時に、平太がどう出るか。逃げるのか、刃を振るうのか、それとも……。
(……っ)
血の臭いのする赤い雨が、宗次郎の脳裏にちらついた。あの日発した自らの叫び声が、耳の奥で蘇る。これでいい、そう思うのに、胸がやたらとざわめき出す。
何だろう、この焦燥は。答えに近付く何かが得られそうなのに、何だか酷く、落ち着かない。
宗次郎が戸惑っている間に、平太が殴られた。一発。二発。その光景を目にするごとに、宗次郎の呼吸が荒くなる。どうにも遣る瀬無くて、右手で髪を押さえ、頭皮に荒々しく爪を立てた。
(もうすぐなんだ、もうすぐ! ……なのに、どうして……!)
平太が殴られるのはいつものこと。それにこうなることは予想の範疇、いや、こうなるように自ら仕掛けたことだった。
平太には悪いが、答えに近付く為には仕方ないと、割り切ってもいた。人が傷付くところなんて散々見てきた、死ぬところも。見殺しにしてきたことも数え切れないし、実際に大勢殺してきた。今更の光景だ。
……それなのに、この焦燥。この不快感。今更この程度で、何を戸惑う!?
義理の家族達に殴られる小さな自分が、平太と重なって見えた気がした。力のある大人達に成す術も無く翻弄される自分が。宗次郎はぎゅっと髪を握り締めた。痛いくらいに。知らぬうちに、歯も食いしばっていた。
地に転がった平太は、今度は蹴られている。狂気を帯びた暴力は、止まるところを知らないだろう。このままでは危ない、死ぬかもしれない、身を守る武器は渡してある、だから早くそれを、その短刀を取り出して、反撃すればいいのに。早く彼らを殺せばいいのに! 僕みたいに!
(―――違う、)
地主達の暴力から逃げようとする、或いはうずくまるように身体を丸める平太の姿に、目が覚めたかのように宗次郎は気が付いた。
あの子は、反撃を望んでいるわけじゃない。望んでいるなら、無抵抗でいないで真っ先に短刀を抜いている筈だ。だって身近に、武器があるんだから。
時が逆流するように、遠い思いがこみ上げる。あの時の自分もまた、最初は脇差を志々雄に返そうと思っていた。必要だとは思わなかったから、使いたくはなかったから、痛みを誰かに味わわせたくはなかったから。……それに、
(あの時僕が望んでいたのは、……あの時僕が、願っていたのは……!)
あの時の宗次郎もまた、求めていたのは誰かを傷付ける為の力ではなかった。過去に一切関係の無い緋村にその苛立ちをぶつけるほどに、本当は叫び、呼んでいたこと。
不意に急激に沸き上がる衝動が宗次郎を突き動かし、両足は無意識のうちに地を力強く蹴っていた。
距離が、縮む。
宗次郎は風を纏い、地主達と平太の間に割り込んだ。突如現れた闖入者に地主達はぎょっとし、宗次郎に気付いた平太は、安堵の混じる崩れかけた笑みを浮かべていた。
よろっとしながらも平太は立ち上がり、震えながら宗次郎の腰の辺りに必死にしがみつく。
「…ッ、……ッ!」と声にならない声で、宗次郎に思いを伝え、訴えている。その様に、宗次郎の心の強張りや焦りがすうっと消えていく。
(……あぁ、)
宗次郎は心の中で、まさに複雑な、様々なものが入り交じった声を漏らした。そして縋る平太の温もりに何か、先程までとは違う胸の苦しさを、甘く疼くようなほろ苦いような鈍痛を覚えたけれど、
「な、何だお前は。お前が例の奴か!」
と地主が声を上げたので、宗次郎は平太をくっつかせたまま、身体の正面を彼らに向けた。
「初めまして。僕は明治政府のお尋ね者です。この数日、平太君に匿われていました」
宗次郎は浮かべ慣れた笑みでそう、平然と述べる。にっこりと。
地主一家は驚愕と怒りと恐怖の表情を深め、排除の目付きで宗次郎を睨んできた。
「お前か…! よくも儂の家に勝手に入り込みおって!」
「えぇ? 家には入ってませんよ。お借りしたのは米倉だけですし」
その怒気や殺気をさらりと受け流し、宗次郎は背後の平太に振り向いて「それじゃ僕、動けないから」とやんわりと引き剥がす。平太は不安げに離れていくが、宗次郎はにこっともう一度笑ってみせた。
それから「早く、警察を呼んでこい!」と騒ぐ地主一家に宗次郎は改めて向き直り、静かに見据えた。
「それに、僕が平太君にお願いしたんです。隠れられるところを教えて欲しいとか、食べ物や包帯が欲しいとか。…それで、あなた達はこれからどうするんです? 僕の方は警察に突き出すとして、平太君のことはこの後も、怒りに任せて殴ったり蹴ったりするんですか?」
「当然だ! 儂に隠れて勝手なことをしおって! 悪党を匿うとは!」
「悪党、ですか。まぁ否定はしませんけど」
その言い草が何だかおかしくて、宗次郎は思わず吹き出してしまった。しかしすぐに佇まいを直すと、右足をトントンと地面に打ち付け始める。
宗次郎の謎の動作に、地主一家も平太も注目する。足を慣らした宗次郎は、再度地を蹴って走り出した。
「!?」
名のある剣客でもその動きを捉えることは叶わない宗次郎の強靭な脚力は、地主一家の懐に一瞬で飛び込むことを可能とさせていた。飛び込むと同時に首や鳩尾といった箇所に鋭い手刀を叩き込み、彼らを昏倒させる。
一呼吸の後は、宗次郎は家の中から恐る恐る様子を窺っている奉公人達の方へと足を向け、同じ目に遭わせる。すぐ側にいた宗次郎が突如消えたことに平太が戸惑っている間に、この家にいる者達はすべて気を失っていた。宗次郎と平太以外は。
「……!」
人々が次々に倒れていった驚きに、平太は口をぱくぱくさせている。平太にとっては脅威でも、宗次郎にとっては乱暴なだけの一般人だ。このくらい造作もない。
「まだ怪我が完治してないから、やっぱりいつもより速さは落ちてるなぁ。…あ、とりあえず殺してないからね」
宗次郎のさらっとした補足を聞いて平太はぎょっとした顔をしたのだけれど、宗次郎は彼に近付くとその頬に触れた。殴られ、腫れて熱を持った頬。
「……使わなかったんだね」
「……?」
「僕が渡した短刀。使ったって良かったのに」
手を下ろし、笑みを湛えてぽそりと言った宗次郎に、平太は何故か悲しげな表情になる。それを目にするや否や、宗次郎には脳や胸が焦げるような感覚が広がり、そのちりちりした痛痒さに任せて平太に現実を教える。
「さっきのこの人達、かなり殺気立ってた。僕が割って入らなかったら、君は折檻された挙げ句に死んでたかもしれない」
その可能性を宗次郎が淡々と告げると、平太には怯えが浮かぶ。痛めつけられた時の恐怖が蘇ったのだろう。がたがた震え出す平太に、宗次郎は抑揚の少ない声で続ける。
「それに…君は普段からこの人達に、酷い目に遭わされてたよね。この人達が憎いんじゃないの? 殺すなら今のうちだよ。…何なら、僕が殺してあげようか? 今度こそ、匿ってくれたお礼。僕は今まで沢山の人を殺してきたからね、数人増えたって罪状は変わらないし、別に構わないよ」
驚愕の形相で、平太は宗次郎を見上げる。屋敷の灯りを背後にした宗次郎は笑顔。柔らかく明るい、故に冷たい微笑。
固まっている平太の前に、宗次郎は屈んだ。同じままの笑みで、平太の揺れる瞳を覗き込む。
戸惑いの双眸が宗次郎を射抜いている。何故か、それが酷く痛かった。恐怖や忌避の感情を向けられるなんて慣れているのに、以前は何とも思っていなかったのに、どうして今この局面では、僕の方が怖い?
確かめたいだけ。平太の今の気持ちを、知りたいだけなのに。
「さっき僕が言ったことが両方嫌なら、君の状況は何も変わらないよ。またこの人達に疎まれて虐げられる生活が続く…いや、僕の一件で、もっと立場は悪くなるかもしれない。どっちにしても、僕はもう、ここから離れなくちゃいけないから…君も、決めなくちゃいけないんだよ」
もう一度、頬に触れた。かさついて傷だらけの、無力な子どもの顔。
正体が露見したことを抜きにしても、そろそろここを発ち、旅を再開しなければならない。平太ともここでお別れだ…、世話になった礼としてせめて、彼と地主達との因縁をどうにかしてやろうと思った。彼を窮地に追い込んだお詫び代わりにも。たとえそれで平太の“家族”を殺めることになったとしても、今回は特別に例外だ。
平太は家族へ刃を向けることを選ばなかった。それはそれでいいかもしれない。だが、その代わり、彼はこれからもこの家でずっと、苦難の日々を送ることになる。宗次郎がいなくなった後も、唯一の味方に近い存在がいなくなった後も。
ひたすら虐げられ、酷使され、何の感動も幸福も見出だせないような毎日を。志々雄と出逢っていなかったら、宗次郎だって多分そうした一生を送っていただろう。
この手で多くの命を奪ってきた。それで得たものは沢山ある。同時に、失ったものも沢山ある。
自分にとって、本当は何が大切なのか、本当は、どんな生き方がしたかったのか……、あの時自由に選べなかった自分に、平太を通して問いかけているかのようだった。
平太にどんな答えを求めているのか、どう答えて欲しいのかもよく分からないまま、宗次郎の口元はただにっこりと弧を描く。
「どうする? 平太君。君はどうしたい?」
無言でこちらを見つめる、いとけない瞳。その瞬きが増えて、表面には水の膜が張って歪み、やがては決壊し涙となって溢れた。
涙はぼたぼたと着物や地面に落ち、それだけでなく宗次郎の手も濡らした。平太は肩を震わせ息を荒げ、声を押し殺し泣いている。
子どもの泣き顔なんて至極ありふれたものなのに、宗次郎の胸はぎゅうっと握り潰されたようだった。ああ、まだこの子は素直に泣けるんだ。氷雨の中、その時はまだあった感情に目を背けて泣いていた自分の姿が脳裏に蘇り、胸の痛みが増した。
あの日に知った人の血の熱さとは、似て非なる熱を持つ人の涙が、禊さながら、とめどなく宗次郎の掌を伝っていく。
「……ッ、く、ない……!」
「……え?」
「ころし、たくない……!」
それは消え入るような声ではあったが、平太が述べた、紛れもない己の意思だった。
平太は喉の震えを押さえ付けるように、大きな呼吸を数度した。それから、涙がいっぱいの目のままで、引き留めるように思いとどまらせるように、宗次郎に抱きついた。
「その人達には酷い目に遭わされたけど…っ、俺、殺したいほど、憎んでるわけじゃないんだ…!」
「……そっか。…あはは、うん、……そうだよね……」
平太が吐き出した本音に、するっと笑い声が出た。
肩透かしを食らったような気分だった。しかし宗次郎は一方で、納得していた。あの嵐の夜は殺意を浴びせられたから、対抗する形で宗次郎の殺意も膨れ上がってしまったが、それ以前は怒りや憤りこそあれど、彼らにそこまでの殺意を抱くことなどなかったのだから。
死の恐怖を感じたことで、その状況で刃を手にしたことで、殺意が明確な形になってしまった。あの状況に陥らなければ、果たしてどうだったのか…。
平太の言葉はまるで、あの時宗次郎が言えなかった本音が、今になって人の口を借りて零れ落ちたかのようで。心の重石が、一つ外れたかのようでもあって。
「…それに…っ、あなただって、もう、殺しちゃダメだよ……!」
「……え、……僕……?」
思わぬ言葉と温もりに、宗次郎は目を瞬いた。茫然と、今度は宗次郎が聞き返す番だった。
「どうして…?」
「よく分かんないけど、何か、後悔してるように思えたから…! それに…ッ、宗次郎さんは、俺の相手をしてくれた! 俺は話さなかったけど…話さなかったのに、色々話をしてくれて、そのことが嬉しかったんだ…!」
平太は精一杯に思いの丈をぶつけ、宗次郎に更にぎゅうぎゅう抱きつく。抱きつきながら、わんわん泣いた。宗次郎の顔や首筋も涙で濡れていった。子どもらしい、平太の素直な全身での感情表現を、宗次郎もまた全身で受けながら、これはあの頃の僕にはできなかったことだな、といつしか表情や感情を取り繕うことが上手くなっていた自分を、ぼんやりと思う。
宗次郎だって最初は、志々雄がただ話を聞いてくれたのが嬉しかった。自分を少しでも理解してくれた、それも嬉しかった。刀なんて無くたって。
この子にも、どうやら刀は必要無いみたいだ。それを悟り、肩の力がまた抜けた自分がいる。
(何か、選ばせるというか、結局僕が助けた形になっちゃったし。……これで、良かったのかなぁ……?)
答え探しの為に一度は突き放しながらも助けてしまった、という自身の行動に宗次郎は疑問を抱く。しかし自分の頬をも濡らす平太の涙に、その温かさに抱き締めてくれる者の存在に、まぁいいか、と思い直す。あのまま見殺しにしていたら、或いは平太が人を殺めるのを傍観していたら。少なくともこの温もりや、涙はなかった。
宗次郎は何となく、平太を抱き締め返してみた。心が落ち着くようなこの感触。どうしてだか目の奥が熱くなって、震える唇でやっと微笑んだ。
本当にこれでいいのか悪かったのか、答えの一欠片になったのかどうかも、宗次郎にはよく分からない。ただ、彼が自分とは違う選択をしたこと、その示唆が自分にできたことは、確かだった。あの雨の日には無かったものを、きっと互いに得られたことも。
今宵の月は見えない。空も暗く闇も深く…、けれど氷雨の冷たさも無く冴え冴えと、晴れ渡っていた。
※ ※ ※
数日後。
隣県との境に宗次郎と平太はいた。川沿いののどかな野道を、二人で緩やかに歩いている。
平太は家族達を殺すことは望まなかった。かといって、残ることも選ばなかった。宗次郎と共に行きたいと、宗次郎の旅についていきたいと、そう望んだ。
「…とは言ってもね。僕はお尋ね者だし、色々危険な場所も通ったりするし。だから君のことは、僕が前に世話になったお寺にお願いするから」
「……えー……」
「あはは。そんなにぶすくれた顔しない。大丈夫だよ、とっても優しい女の人がいるし、君みたいに行き場のない子もいっぱいいるんだ。平太君なら、きっとうまくやっていけるよ」
「……」
宗次郎が宥めても、平太の機嫌はなかなか直らない。何だか随分懐かれちゃったなぁ、と宗次郎は頬を掻く。悪い気はしなかった。
志々雄のように『ついてくるか?』と投げかけなくても、平太は宗次郎と一緒に行きたいと言ってくれた。ねだられるままにあの夜、二人で屋敷を去って。書き置きも何も残さずとんずらしたから、向こうとしては平太を連れ去られたという認識なのかもしれない。
幼子の拐かし。罪が一つ増えてしまった。でもまぁ一緒に行きたいって言ったのは平太君だし…?と、その辺りは深く考えていない宗次郎である。
それに、平太の望みを完全に叶えることはできない。先程言ったように、彼のことは宗次郎が以前、旅の途中で世話になった、子ども達のお救い寺に任せるつもりでいる。餅は餅屋だ。
平太と旅をしたら、楽しいだろうなぁとは思う。旅の中で、彼が今まで見たことがなかったものを見せたり、知らなかったことを学ばせたり……そんな日々はきっと、平太を成長させていくだろう。もしかしたら自身の成長にも繋がるのかもしれない。しかし自分の生き方もろくに見つかっていない今、人一人を導くのは宗次郎には少々、荷が重い。
そう考えると志々雄さん、あの火傷であの状況下で小さい子どもを連れて旅って凄いなぁ、などと宗次郎は今更ながら感心する。子どもなんていたら何かと面倒事が増えそうなのに。そうじゃなくても政府に追われていたのに。
色々あったけれど、彼は紛れもなく自分を育ててくれ、自分を構成している存在だ。平太にとって、自分はそこまでの存在でなくてもいい。そう、彼が旅の途中で見つけた一欠片なら、彼にとっても、きっと自分はその程度が丁度いい。これまでの人生が似ているからと、その先まで似ている必要は無い。
平太君は平太君の人生を歩めばいいと思う。僕も、いつか自分の生き方を見つけてみせるから。その結論に、宗次郎の胸中も今の空のように晴れ晴れする。
今日の空はどこまでも高く青く澄み、鳥が自由に飛び交っている。そんな何気ない光景が不思議と優しく見えて、宗次郎は大きく息を吸い込むと、目を細めた。
そうした宗次郎をちらちらと見上げ様子を伺っていた平太は、少々恐る恐る、といった風に言う。
「……あのさ、」
「何?」
「……旅の途中で、会いに来てくれるんでしょ?」
「捕まらなきゃね」
「……」
懇願にそう返したら、無言で微妙な顔をされてしまった。
宗次郎は小さく吹き出す。今までの沈黙の反動か、平太はよく喋り、表情も更によく動くようになった。恐らくは、こうした姿が本来の平太なのだろう。
まだ手遅れにならないうちに取り戻せた、宗次郎がそこに些かの眩しさを覚えながら「嫌だなぁ、ちゃんと会いに行くよ」と真面目に返事をすれば、平太の顔がホッと緩む。それから、平太は気を取り直した風に笑う。
「ねぇ、宗次郎さん」
「ん?」
平太がそっと手を繋いできたので、宗次郎は見下ろした。
「人を殺すことはしたくないけど、俺、強くなりたい。……俺、強くなれるかな……?」
かつて自分が問いかけたのと、近くも遠い問いかけだった。
小さな手を握り返す。風がさぁっと吹いて、足元の草を揺らした。巻き上げられた髪を、宗次郎は平太と繋ぐ手とは逆の掌で押さえる。
ほんの少し、青い空を見上げて。宗次郎は微笑みと共に答えた。
「そうだね。君なら、―――」
了
宗次郎がかつての志々雄と立場が逆転した状態で過去の自分と似たような少年に出逢ったら…な状況を書きたかっただけの話です。
テーマがテーマだけに色々と難しかった…主に宗次郎の心理描写…。でも、何とか形にできて良かったです。
北海道編にて宗次郎が再登場する前に書いた話なので、北海道編の宗次郎の描写と差異があったりする…警官隊の対応とか…。
ま、まぁ地方の警察隊が独断で先走ったとかそんな感じ?(適当)
オリキャラ平太君の名前は、宗次郎の元ネタ繋がりで、新撰組の近藤さんの幼名・勝太と藤堂平助から頂いてたりします。
最後に宗次郎が彼に何を言ったかは、皆様のご想像にお任せしますです。
宗次郎好き仲間の葵様と合同で出した同人誌に、この話を載せて頂きました。葵様、その節は大変お世話になりました! ありがとうございました!
2019,3,10
初稿:2018,5,12
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