小春日和
「さんのお母さんって、どんな人でした?」
「どうしたの、いきなり」
「僕、ずっと小さい頃に母を亡くしたから、”お母さん”ってどんな風だったのか、全然覚えてないんです。
だから、さんのお母さんってどんな人だったのかなあって、ちょっと訊いてみたくて」
「う〜ん、そうねぇ・・・・・。私もお母さんが死んで数年は経つけど、でも、私の覚えてるお母さんは・・・・優しくて、温かくて・・・でも、私がやっちゃいけないことをした時は、厳しく叱ってくれた。
―――そんな人だったよ」
「そうですか。でも、それって、まるでさんのこと言ってるみたいですね」
「え、そう?」
「だから僕、さんといると安心するのかも。まるでお母さんといるみたいで」
「・・・・・・・・・」
(恋人じゃなくて、お母さん、か・・・)
「さんも、僕に優しくて、温かくて、言うべき時にはしっかりと言ってくれて。それがすごく、僕にとっては有り難いんですよ。
本当に・・・・さんと出会えて、何て言うか、幸せって、こんな感じかなあって」
「宗次郎くん・・・・・」
(まぁいいか、今はまだ、”お母さん”でも)
「私も、宗次郎くんと出会えて、幸せだよ」
彼が自分の存在に安息を見出してくれることの幸せ。
それは、暖かな小春日和の日に。
<了>
ふと思いついた話。短いですが、やっとドリームでほのぼのが書けました。
MY設定では、宗次郎が流浪の果てに剣心のようにある家に居ついて、その日常の中での会話・・・といった感じなのですが、まぁ、お好きなように想像なさって下さい。
さん、短い話ですが、少しでも楽しんでいただけたら幸いです。
2004年10月3日
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