「切手のないおくりもの」シリーズを始めたきっかけ
オリハも停滞中にもかかわらず(汗)、また新シリーズを始めてしまいました。
始めてしまったわけですが、それには理由があります。
1ヶ月くらい前、渡辺先生のアシさんのハーメルンについてのブログの存在を初めて知り、その時さっそく読んでみたのです。
色々と興味深い話もあったのですが、印象に残ったのはやはりリュートのくだりでした。
読み終えて一番強く感じたのは、『リュートの死は予定調和だった』ということでした。
15年前の第一次スフォルツェンド大戦の際の死は、物語上、悲しいけれど仕方のないことで、それでも初めてあの話を読んだ時にはそれこそ悲しくて悔しくて、だからこそ私は何が何でも(多少強引にでも)リュートには生き返って欲しくて、生きて幸せになって欲しかったのです。彼があれだけ大切にしていたホルン様やフルートと。彼が命をかけて守ったあの世界で。
けれど私達読者がどんなに願ったところで、北の都での最終戦での彼の死は免れないものだった。
ブログを読んで、その現実を改めて突きつけられました。勿論その考えは頭にはあったけれど、それでも私は渡辺先生がリュートを生かすか死なせるか、悩んだ上でのあの展開だと信じていたかったのです。
でもそんな思いに反して、リュートの死は始めから決まっていたものだったんだ・・・・と、すごくショックだったのです。渡辺先生がリュートの生き様を通して伝えたい物があったということも分かってる。でもそれでも、ほんの少しでも良いから彼には生きて、平和な世界で家族と共に過ごして欲しかった。
リュートの性格を考えれば、きっと生き返っても自分を責めて苦しむんだろうな、ということも分かります。でも、私も私のエゴだということを分かっていても、リュートには本当に生きて幸せになって欲しかったのです。
話がちょっと脱線してしまいましたが、リュートの死は変えられないものだったんだ・・・としばらくは放心状態でした。が、次第にある考えが浮かんできたのです。
原作完全無視もいいとこですが、『存在し得なかったリュートとフルートの時間が、もし存在し得たなら』。―――有り得なかったからこそ逆に書いてみようと、そう思ったのです。
決して有り得るはずの無い時間。もしもそれが存在し得るなら。
リュートとフルートの兄妹としての時間を、敢えて書いてみたいと思ったのです。今まで何作かリュートが生き返ってる設定で話を書いたことがありましたが、それとは違う、戦いが起こらなくて、リュートとフルートが普通に兄妹として過ごせていたら・・・・・そんな時間を。せめて二次創作の中でくらい、そんな時間を書いてみたいと思ったのです。
かなり長くなってしまいましたが、そんな思いから生まれたとはいえ、ごく普通の兄妹としての何気ない二人の姿を描いていくこのシリーズを、少しでも楽しんで頂けたら私はとても嬉しく思います。
つらつらと書いていくつもりなので、気が向いたら読んで下さったら幸いです。
ではでは、また本編で。
2007,8,1
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