部屋の時間
「ねー浅野クン。この部屋、殺風景過ぎない?」
机。椅子。ベッド。本棚。必要最低限の物しか置かれていない浅野の部屋。
きちんと整理整頓されてはいるが、悪く言えば生活感がない。端的に評するとやはり殺風景、となる。
そもそもこの家全体に漂うものがそうだったのだが、
(なんっつーか、寂しい部屋)
人が暮らしている場所にある筈の、温かみというものがまるで見当たらないようにカルマには思えたのだ。
まぁ両親の忙しい自分の家も似たようなものだが、ゲーム機とか、髑髏のペン立てとか、中学生らしい物はちゃんとカルマの部屋にはある。
椅子に座っている浅野は、顔だけでカルマの方を見た。
「他に何が必要だと? 普段使う物さえあれば十分だ」
「ふ〜ん……?」
ベッドに寝転んでいたカルマは起き上がると、おもむろにベッドの下を覗き込んだ。
「エロ本とかないの?」
「あるか!!」
浅野が珍しく声を荒げて突っ込みを入れた。
中高生男子におけるエロ本の隠し場所の定番、ベッドの下。あったら面白いなとカルマは思いつつ悪戯心で見てみたが、残念、それらしきものは何も無かった。
他の隠し場所があるとしたら机の引き出し、本棚で他の本に紛れ込ませて…といったところだろうが、そんなところまでは流石に浅野が見せてくれるとは思えない。
浅野は腕を組んで椅子の背もたれに寄りかかりながら、むっとしたままの顔で言う。
「君は僕がそんな低俗な物を読むと思うか?」
「あったら面白かったのに。カメラで撮って会長サマはむっつりで〜すって言いふらすとかさ」
「思惑通りに行かずに残念だったな」
浅野がふんと鼻で笑ったので、カルマはあ〜あとつまらなそうな声を上げてベッドに寝転ぶ。
両手を頭の後ろで組んで枕代わりにしていると、浅野が椅子から立ち上がりベッドまでやってきて、腰かけた。
そして不意にカルマの髪を掴む。少々強く引っ張られたので、カルマは小さく声を上げた。
「いっ…何するのさ」
抗議の眼差しを向けると、やはり浅野はくすりと笑う。
「この赤い色があれば、この部屋も派手になっていい」
そのまま浅野はぐしゃぐしゃとカルマの髪をかき回した。わ、ちょ、やめろ、と声を上げながらカルマは勢いよく飛び起きる。
「それに君がいれば、僕は退屈しない」
気付いた時には浅野の顔が目の前にあって、唇を奪われた。
まったくこの生徒会長様は、突然こういうことをするから困る。
そう思いながら、カルマは浅野のキスを素直に受け入れていた。
低俗なおまけ
「大体、本などに頼らなくても君がいれば十分だろう? ただの写真や絵や文字で書かれたものより、君の方が余程官能的で魅力的だ(ニッコリ)」
「生徒会長〜、それセクハラ」
END
ただ単に「エロ本とかないの?」「あるか!」のやり取りと、浅野君の部屋が殺風景だと書きたかった話。
絶対余計なもの何一つないと思う。
カルマ君はコミックスよく見るとペン立てが髑髏なんだよね。テラ中2ww
もっとシンプルなの使ってると思ってた。
2015,4,18
初稿:2015,2,26
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