ただ殺すんじゃつまらない。
それなりのスリルを伴ってなきゃ。



ロシアンルーレット



隣の部屋からは話し声が聞こえ続けている。内容までは聞き取れないが、多分、この先どうするかについてだ。
どうするもこうするもないんだけどね。このぼくと会っちゃったからには。
けれど、彼らは複数でいたことに感謝すべきだ。そのおかげで少しだけ(そう、本当に少しだけ)寿命が延びたんだから。
人の良さそうな外見で惑わして、何人かの参加者を葬ってきたこのぼくでも、流石に一対三じゃ分が悪い。
そこで―――コレの出番ってわけだ。ポケットにずっと隠しておいた紙包み。
さて、ここに四つのカップがある。
八分目くらいまでコーヒーが注がれたそれら。そのうちの二つを脇に寄せ、その上に紙包みを持ったままのぼくの手を持っていく。そっと包みを破り、コーヒーの中に静かに白い粉を落とした。二つのカップで均等になるように。
スプーンで混ぜると、その粉は完全に溶けた。
「おーい杉原、飲み物まだかー?」
「うん、今持ってく」
催促の声に返事をして、ぼくはすべてのカップを盆の上に乗せた。
もちろん、毒の入った二つの位置を確認して。自分で引っ掛かっちゃ洒落にならないからね。
でも―――四つのコーヒーカップの中で、毒が入ってるのは二つ。
そうでないうちの一つは、ぼくが飲むもの。そしてもう一つは・・・・・。
さあ、誰に行くかはぼくもわからない。楽しい賭けの始まりだ。
運良く、毒を免れた人は、ぼくが直々に殺してあげる。
ぼくはそうほくそ笑んで、隣の部屋へ向かった。



<END>








ちょっとだけ独白織り交ぜて、三人称で書く予定だったんですが、いつの間にか一人称に・・・。
でも乗り乗りキャラの一人称は書きやすいし楽しいねぇ♪(←オイ)
けど、実際のロシアンルーレットは、リボルバーの拳銃を使ったり二人で交互に撃ったり、と本文とはかなり違うんですが・・・・まぁ、こんなんで許してください(汗)
それにしても短いなぁ・・・。


2003年10月19日




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