首輪



「とにかく、お前に会えて良かった」
「ああ、俺もだ」
林の中をざっざっと歩いていく。前は不破、後ろは小堤。二人は、つい先程再会したばかり。
夕暮れが迫り薄暗い中、枯葉を踏みしめる音だけが響く。
「お、おい、不破? どこまで進むんだ? この先は確か禁止エリア・・・」
「ああ、知っている」
戸惑う小堤とは反対に、不破は平然と返す。不破の足は止まることはない。小堤は一人になりたくない一心で追いかけるが、それでも足取りは重く。
何故なら、禁止エリアに入った途端、この首輪は爆発するのだから。うっかり足を踏み入れて死ぬなんて、冗談じゃない―――。
「この辺か」
すっかり顔色の青ざめた小堤のことを知ってか知らずか、不破はようやく立ち止まった。地図と周りの様子を見比べて、一人頷く。
「え、何―――」
「試させてもらうぞ」
不破のその言葉に、え、と思う間も無く、小堤は腹に衝撃を受けた。不破が小堤の腹を殴ったのだ。ぐ、と呻いて小堤は倒れ込む。不破はすかさず、小堤の首に手刀を入れた。的確なそれは、小堤を確実に気絶させた。
気を失った小堤の襟首を掴むと、不破はその外見に似つかわしくない腕力を以って、前方に思い切り投げた。そこは勿論、禁止エリア―――。
着地と同時にピッと電子音が鳴り、小堤の首は吹き飛んでいた。頚動脈を損傷したのか、激しく吹き上がる血。不破の制服にも、少しばかり降ってくる。
不破はそれをじっと見て、ふむ、と頷いた。
「成程。本当にこの首輪は爆発するのだな」
何の感情もこもってない風にさらっと言う。
不破は、ただそれだけを確かめたかったのだ。





<END>










またまた短い話・・・。ちょっと桐山風?な不破くんです。
わりと思いつきで書いたもの。すまん、小堤・・・(不破も)。


2004年2月1日





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